靴履き用の椅子を作りました。
玄関に置いて靴を履くときにいいかなと思って作った椅子です。背は背もたれというよりも手かけです。動かすときに重宝します。背を付けるために座を後にぎゅっと伸ばしてみたら水滴とか栗のような形になりました。全体がすっきりとしたデザインなので材は木目や堅さのバランスが良いナラを選びました。ナラ材でガッチリした椅子を作ると重くなりますが、エマロンはシンプルな構造なので適度な重さに仕上がりました。
高さは2種類あります。
一脚目は母へのプレゼントとして作ったのですが、母に座ってもらうと、「座がもっと高い方が立ち上がるときに楽だわ」と言われました。歳なので足が弱ってきていますから気になるのですね。高さは32cmでしたが、あらためて37cmで作り直しました。それで高さ違いのバリエーションが生まれました。
32cmの方が全体のまとまりがあってやわらかい感じです。足腰に問題のない方でしたらそちらをお勧めします。ひも靴などは低い方が履きやすいです。一方、リビングなどで普通の椅子のように使うことをお考えなら37cmの方がダイニングの椅子の高さに近いので使いやすいと思います。イメージ画像は37cmで撮影しました。
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エマロンの作り方
椅子を作るとき座面をどう加工するかを決めないといけません。色々な使い方ができるようにするには平たい座面がよく、コップなども置けますから小テーブルのようにも使えます。一方、座り心地の良さを考えるときは座面を彫り込んで当たりを良くします。椅子の形にあった座面の彫り方というのもあると思います。エマロンは写真のようなディテールになりました。
座面の中心に向かって緩やかに彫り込んでいます。また、小さい丸い形は脚先が下から座面を貫通していて、そこにクサビを打っているものです。クサビは色の濃い材料を使ってアクセントにしています。強度などと合わせ伝統的な納まりとしました。
背は華奢に見えますが、3本の支柱がそれぞれに違う方向から背に入っています。これによって必要な丈夫さを作りだし、背が抜けてしまうようなことを防いでいます。
また、背は稜線が崩れないように削りだしています。椅子全体に言えますが、作るときに面と面のつながりをしっかり出してあります。こうしておくことで数十年先、使い込まれて摩耗しても輪郭がちゃんと残るようになるからです。