木の家具オータムの仕事
個人的には、できるだけものを持たない暮らしが理想と考えています。でも、どうしても必要なものはあるし、つい欲しくなって、ということもある。気がつけばずいぶんとものに溢れた生活をしている。でも、それらのうち愛着を感じてずっと使い続けていきたいと思えるものは?と問われたら、はたしてどのくらいあるでしょうか。
木を素材に丁寧にものを作ろうとしますと、とてもたくさんの時間を必要とします。材料選びから、その扱い方、そして仕上げにいたるまで判断し選択すべきことが山のようにあります。ひとつとして同じ顔をしていない自然の生き物である木を相手にしているので、そうするしかないのです。一枚の板と向き合ったときに「キミの場合はこうしたらいいいかな?それともこうかな?」という問いかけを繰り返しながら、作り上げていくのです。
よりよく作られたものは、手にされた方により深い満足感や心の豊かさといった贅沢を与えてくれます。それらは一見無駄と思えるような贅沢な時間を経て、ようやく生み出されてくるのではないでしょうか。
あわただしく過ぎ去っていく日々のなかで、ふと気付くと変わらずそこにあり続けるもの、あり続けてほしいと思えるものを作り出したいと思っています。
石堂伸 Ishidou Shin
1968年 埼玉県生まれ。
1995年 長野県高等技術専門校木工科卒業。長野県内の家具工房で3年間修行。
1998年 木の家具Autumn開設
2004年 小さい椅子に参加。
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